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ショートステイとは?介護度別の費用や利用条件・サービス内容を解説

ショートステイは、介護が必要な方が一時的に施設に入所し、介護サービスを受けることができる制度です。介護者の負担軽減や利用者の社会的な交流を促進するため、多くの家庭で利用されています。本記事では、ショートステイの概要や利用条件、サービス内容、デイサービスとの違い、さらにはショートステイの種類や利用手順について詳しく解説します。最後まで読むと、ショートステイの活用方法が理解でき、適切な介護サービスの選択に役立つでしょう。

ショートステイとは

ショートステイとは、一時的に介護が必要な方が施設に入所して介護サービスを受けられる制度です。主に、介護者が一時的に介護を行えない場合や、介護者の負担を軽減する目的で利用されます。ショートステイは介護施設や老人ホーム、特別養護老人ホームなどで提供されており、利用者は一定期間、施設で生活しながら介護を受けられます。

利用者は、施設で食事や入浴、排泄などの基本的な介護サービスを受けることができるほか、健康管理やリハビリテーションのサポートも提供されます。ショートステイの利用期間は数日から数週間にわたり、必要に応じて延長も可能です。

ショートステイの利用条件

ショートステイを利用するには、いくつかの条件があります。まず、介護保険適用のショートステイの場合、以下の条件を満たす必要があります。

65歳以上で要支援1・2、または要介護1~5の認定を受けている方

要介護認定を受けた方は、介護保険を利用してショートステイを利用できます。要支援1・2の方は、比較的軽度の介護が必要な場合でも、ショートステイを利用して日常生活のサポートを受けられます。

40歳~64歳で特定疾病による要介護認定を受けている方

介護保険制度では、40歳以上の方で特定の疾病(たとえば、末期がんや進行性筋萎縮症など)により介護が必要な場合、要介護認定を受けることでショートステイを利用できます。

介護保険適用外のショートステイも存在し、この場合、要介護認定が自立とされた方でも利用できる場合があります。たとえば、家族の急な用事や介護者の休養が必要な場合、自費でショートステイを利用するケースがあります。ただし、事前に施設に相談し、利用可能な期間や費用についての確認が必要です。

ショートステイのサービス内容

ショートステイでは、利用者に対してさまざまなサービスが提供されます。提供されるサービスは、利用者の身体的・精神的な健康を維持し、日常生活を支援することが目的です。

食事の提供

ショートステイでは、栄養バランスの取れた食事が提供されます。利用者の健康状態や嗜好に合わせた食事が準備されるため、安心した食事摂取が可能です。また、嚥下障害や糖尿病など、特別な配慮が必要な場合には、個々に対応した特別食が提供されるケースもあります。

入浴や排泄の介助

ショートステイでは、利用者が安心して入浴できるよう、専門スタッフによる介助が行われます。また、排泄の介助も提供され、利用者を尊重しながらサポートが行われます。介護が必要な方にとって、これらのサービスは日常生活を快適に過ごすために欠かせません。

健康管理とリハビリテーション

ショートステイでは、利用者の健康状態を定期的にチェックし、必要に応じて医療機関との連携も行われます。さらに、リハビリテーションのプログラムが提供される施設もあり、体力や機能の維持・向上が可能です。

社会的交流の促進

利用者同士の交流が促進されるよう、レクリエーションや共同活動が行われます。利用者が社会的なつながりを感じられるため、孤立感の軽減が可能です。

ショートステイとデイサービスの違い

ショートステイとデイサービス(通所介護)は、似たようなサービスを提供する施設として混同されがちです。しかし、両者には明確な違いがあります。

デイサービスは、介護が必要な方が日中に施設を訪れ、食事や入浴、リハビリテーションなどのサービスを受けられる施設です。デイサービスは、利用者が自宅から通う形で利用するため、夜間は自宅で過ごすのが特徴です。

ショートステイとデイサービスは、いずれも介護サービスを提供する施設ですが、利用形態や提供されるサービス内容に違いがあります。ショートステイは短期間の宿泊を伴うサービスであり、利用者は施設で24時間介護を受けられます。一方、デイサービスは日中のみの利用であり、自宅での生活を維持しながら必要な介護を受けられるのです。

ショートステイの種類

ショートステイには、主に「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。それぞれのサービスは提供される施設や目的、利用対象者が異なり、利用者のニーズに応じて選択できます。

短期入所生活介護 短期入所療養介護
サービスを提供する施設 ・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護医療院
サービスの利用対象者 ・要支援1、2
・要介護1〜5の認定を受けた方
・要支援1、2
・要介護1〜5の認定を受けた方で医療的な管理を必要としている方
サービスの目的 ・日常生活の支援
・介護者の負担軽減
・医療的ケアが必要な方の支援
・機能回復訓練
サービス内容 ・食事
・入浴
・排泄介助
・リハビリテーション
・医療ケア
・リハビリテーション
・生活支援

短期入所生活介護

短期入所生活介護は、日常生活の支援を目的としたサービスであり、主に特別養護老人ホームや有料老人ホームで提供されます。利用者は、日常生活に必要な介護を受けながら、施設で生活を送れます。

短期入所生活介護
サービスを提供する施設 ・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム
サービスの利用対象者 ・要支援1、2
・要介護1〜5の認定を受けた方
サービスの目的 ・日常生活の支援
・介護者の負担軽減
サービス内容 ・食事
・入浴
・排泄介助
・リハビリテーション

短期入所生活介護は、ショートステイ専門の施設「単独型」と、特別養護老人ホームなどに併設されている「併設型」に分けられます。

短期入所療養介護

短期入所療養介護は、医療的ケアが必要な方を対象としたサービスで、主に介護老人保健施設や介護医療院で提供されます。利用者は、医師や看護師のサポートを受けながら、リハビリテーションや日常生活の支援を受けられます。

短期入所療養介護
サービスを提供する施設 ・介護老人保健施設
・介護医療院
サービスの利用対象者 ・要支援1〜5の認定を受けた方
サービスの目的 ・医療的ケアが必要な方の支援
・機能回復訓練
サービス内容 ・医療ケア
・リハビリテーション
・生活支援

短期入所療養介護は、特に機能回復を目指したリハビリが重視されており、医療ケアが求められる方に適していると言えるでしょう。

ショートステイの一日の流れ

ショートステイで過ごす一日は、利用者の健康状態や介護度に応じた個別のケアプランに基づいて進行します。ショートステイの一日の流れは、以下のとおりです。

朝食と朝のケア

利用者は施設内で提供される栄養バランスの取れた朝食を摂ります。その後、必要に応じて入浴や洗面、歯磨きなどの朝のケアが行われます。入浴は週に数回行われることが一般的で、介護スタッフのサポートを受けられるのが特徴です。

午前の活動とリハビリテーション

午前中は軽い体操やリハビリテーションが行われることが多く、利用者の体力維持や機能回復を目的としたプログラムが実施されます。また、レクリエーションや趣味活動が行われ、社会的交流を促進します。

昼食と午後のケア

昼食も朝食同様、栄養バランスに配慮されたメニューが提供されます。食後は個別のケアプランに基づき、必要に応じて休憩やリハビリが続けられます。午後には、利用者の体調や希望に応じて、散歩や軽い運動が行われることもあるため張り合いがある生活が可能です。

夕食と就寝準備

夕食後、就寝前のケアとして、必要に応じて洗顔や排泄の介助が行われます。またリラックスできるよう、音楽鑑賞や読書などの静かな時間が提供されることもあります。その後、利用者は個室や多床室で就寝します。

このようにショートステイでは、利用者が快適に過ごせるように配慮された一日が過ごされます。各施設では、利用者の状態に合わせて柔軟に対応するため、安心・安全に利用が可能です。

ショートステイで宿泊する部屋のタイプ

ショートステイで宿泊する部屋には、利用者のニーズや施設の設備に応じて、さまざまなタイプが用意されています。以下に、主な部屋のタイプとその特徴を紹介します。

タイプ 特徴
従来型個室 一人部屋でプライバシーが確保されている。静かで落ち着いた環境で過ごせるのが特徴。
ユニット型個室 少人数のユニットで構成され、家庭的な雰囲気があり、個別ケアが受けやすい。
多床室 複数の利用者が同室で過ごす。料金が比較的安く、他の利用者との交流がしやすい。
ユニット型個室的多床室 ユニット型の環境でありながら、複数人での利用となるため、コミュニケーションが取りやすい。

ショートステイを利用できる期間

ショートステイの利用期間には一定の限度があります。介護保険を利用する場合、ショートステイの利用には限度日数が定められており、通常は年間で最大30日程度です。ただし、利用者の状態や家族の事情によっては、特例として延長が認められるケースもあります。

ショートステイを長期間利用したい場合、ケアマネージャーと相談し、ケアプランの調整が重要です。また、介護保険適用外のショートステイでは、一定期間を超える利用が可能になる場合もあります。施設によっては、長期利用を前提としたプランが用意されていることもあるため、事前に確認するようにしましょう。

ショートステイの利用にかかる費用

ショートステイの利用にかかる費用は、いくつかの要素によって決まります。基本的な費用は介護保険による負担割合と、宿泊する部屋のタイプ、滞在日数によって異なります。

  • 基本料金: 介護度や施設の種類に応じて決定されます。要介護度が高いほど、料金は高くなる傾向にあります。
  • 特別サービスの利用加算: リハビリや特別食など、追加サービスを利用した場合には、基本料金に加えて加算されることがあります。
  • 保険適用外の自己負担額: 介護保険が適用されない部分の費用は、利用者が自己負担する必要があります。

短期入所生活介護費(単独型)※1割負担の場合

従来型個室 多床室 ユニット型個室/ユニット型個室的多床室
要支援1 479円 479円 561円
要支援2 596円 596円 681円
要介護1 645円 645円 746円
要介護2 715円 715円 815円
要介護3 787円 787円 891円
要介護4 856円 856円 959円
要介護5 926円 926円 1,028円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

短期入所生活介護費(併設型)※1割負担の場合

従来型個室 多床室 ユニット型個室/ユニット型個室的多床室
要支援1 451円 451円 529円
要支援2 561円 561円 656円
要介護1 603円 603円 704円
要介護2 672円 672円 772円
要介護3 745円 745円 847円
要介護4 815円 815円 918円
要介護5 884円 884円 987円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

短期入所療養介護費(介護老人保健施設)※1割負担の場合

従来型個室 多床室 ユニット型個室/ユニット型個室的多床室
要支援1 579円 613円 624円
要支援2 726円 774円 789円
要介護1 753円 830円 836円
要介護2 801円 880円 883円
要介護3 864円 944円 948円
要介護4 918円 997円 1,003円
要介護5 971円 1,052円 1,056円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

ショートステイを利用するメリット

ショートステイの利用には、多くのメリットがあります。以下に、代表的なメリットを挙げます。

  • 介護者の負担が軽減される: 家族が一時的に介護から解放され、リフレッシュや休養が取れるため、長期的な介護を続けやすくなる。
  • 利用者の生活の質が向上する: 専門スタッフによる適切なケアやリハビリテーションが受けられるため、利用者の生活の質が向上する。
  • 社会的な交流が促進される: 他の利用者やスタッフとの交流が増え、社会的な孤立を防げる。
  • 緊急時の対応が容易: 短期間で利用できるため、家族の急な予定変更や介護者の体調不良時にも迅速に対応できる。

ショートステイは介護者が一時的に介護を行えない場合や、介護者の負担軽減を図りたい家庭に特におすすめです。また、リハビリテーションを目的として短期間の入所を希望する方にも適しています。

ショートステイを利用するデメリット

ショートステイの利用には、いくつかのデメリットも考えられます。以下に、代表的なデメリットを挙げます。

  • 利用者が環境に慣れづらい: 短期間で異なる環境に移るため、利用者が新しい環境に慣れるのに時間がかかる場合がある。
  • 費用が高額になる場合がある: 長期間の利用や特別サービスの利用によって、費用が高額になるケースがある。
  • 予約が取りづらいことがある: 特に人気のある施設では、予約が取りづらく、希望する日程での利用が難しい場合がある。
  • 家族とのコミュニケーションが減る: 入所中は家族と過ごす時間が減少するため、寂しさを感じることがあるかもしれない。

ショートステイを利用する際には、利用者が快適に過ごせるよう、事前に施設の環境やサービス内容を確認することが重要です。また、利用者が新しい環境にスムーズに適応できるよう、家族やスタッフがサポートすることが求められます。

ショートステイを利用するには?利用の手順

ショートステイを利用するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。これらの手順を事前に理解しておくことで、スムーズに利用を開始できます。以下に、ショートステイ利用の基本的な手順を紹介します。

① 要介護認定を申請する
② ケアプランの作成を依頼する
③ 利用する施設を選んで申し込む

それぞれ説明します。

➀要介護認定を申請する

ショートステイを利用するには、まず要介護認定を受けることが必要です。要介護認定は、市区町村の介護保険課で申請することができます。申請後、訪問調査や主治医の意見書をもとに、利用者の状態が評価され、要支援1・2または要介護1~5の認定が下ります。

認定を受けた介護度に応じて、利用できるサービスや費用負担が異なります。たとえば要介護1と認定された場合、比較的軽度な介護サービスが受けられるのに対し、要介護5の場合には、より高度な介護サービスが提供されることが一般的です。

②ケアプランの作成を依頼する

要介護認定を受けた後は、ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼します。ケアプランは、利用者が必要とする介護サービスの内容やスケジュールを計画するためのものです。特にショートステイを4日以上連続して利用する場合、ケアプランの作成が必要となります。

【要介護の場合】

要介護と認定された方は、居宅介護支援事業所のケアマネージャーがケアプランの作成を行います。ケアマネージャーは、利用者の状態や家族の要望を考慮し、最適なショートステイ施設の選定や、他の介護サービスとの連携を図ります。

【要支援の場合】

要支援と認定された方の場合、ケアプランの作成を担当するのは地域包括支援センターです。主に介護予防を目的としたサービスが計画されるため、ショートステイの利用も健康維持やリハビリテーションが重視されます。

【介護保険適用外の場合】

介護保険が適用されないショートステイを利用する場合は、ケアプランの作成は不要です。この場合、施設に直接相談し、利用可能な期間やサービス内容、費用について話し合います。自費での利用となるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。

③利用する施設を選んで申し込む

ケアプランが作成されたら、次に利用するショートステイ施設を選びます。施設を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

  • 施設の場所: 自宅から近い施設を選ぶことで、緊急時にも対応しやすく、家族の面会も容易です。
  • 施設の評判や口コミ: 利用者や家族からの評判や口コミを参考に、施設のサービスやスタッフの対応を確認します。
  • サービス内容: 施設ごとに提供されるサービスが異なるため、利用者のニーズに合ったサービスを提供しているか確認します。
  • 費用: 施設によって料金設定が異なるため、予算に応じた施設を選ぶことが重要です。介護保険適用の有無や、追加サービスの費用についても確認しておきましょう。

施設を選んだら、直接施設に連絡して申し込みを行います。申し込みの際には、利用者の健康状態や介護度、利用希望期間を伝え、施設側とスケジュールの調整を行います。また事前に施設を見学し、設備やスタッフの対応を確認することもおすすめです。

ショートステイに関するよくある質問

ショートステイを利用する際には、さまざまな疑問が生じることがあります。ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。

認知症のある人でも利用できる?

認知症のある方でもショートステイを利用できます。認知症の進行具合や個々の状態に応じて、適切なケアを提供する施設が選ばれます。認知症ケアに特化したショートステイ施設もあり、専門スタッフが対応することで、安心して利用することが可能です。また、施設内での環境が安定しているため、認知症の方がリラックスして過ごせるよう工夫されています。

利用日数の延長はできる?

ショートステイの利用日数は、通常のケアプランに基づいて決められますが、緊急の理由がある場合や施設に空きがある場合には、延長が可能です。延長を希望する場合は、できるだけ早めにケアマネージャーや施設に連絡し、調整を依頼することが重要です。ただし、他の利用者の予約状況によっては、希望通りに延長できないこともありますので、事前の相談が不可欠です。

ロングショートステイとは?

ロングショートステイとは、通常よりも長期間にわたってショートステイを利用する形態のことを指します。特に、介護者の長期休養や、利用者のリハビリ期間が延びる場合に利用されます。一般的には、通常のショートステイよりも高額な費用がかかることが多いため、事前に費用や利用条件を確認することが大切です。ロングショートステイの利用を希望する場合は、ケアマネージャーと十分に相談し、ケアプランを調整することが必要です。

まとめ

ショートステイは、介護が必要な方が一時的に施設に入所し、専門的なケアを受けることで、介護者の負担を軽減し、利用者の生活の質を向上させるための重要なサービスです。ショートステイの利用には、要介護認定の取得やケアプランの作成が必要であり、適切な施設選びも重要なポイントです。また、ショートステイには短期入所生活介護と短期入所療養介護の2種類があり、それぞれの特徴を理解した上で利用することが大切です。

ショートステイの利用を検討している方は、この記事を参考に、利用手順やメリット・デメリットをしっかりと理解し、適切な介護サービスを選んでください。そうすることで、利用者と介護者双方が安心して生活できる環境を整えることができるでしょう。