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要介護認定を受けるには?認定基準や介護保険の限度額・申請方法を解説

介護認定と一口に言っても、要支援や要介護、それぞれに段階も設定されており、どのようなサービスを受けられるのかわからない方も多いのではないでしょうか。

ここではそれぞれの介護度の目安や介護度に応じたサービス例、申請の流れ等について説明します。
かかりつけ医を早く決めておいた方が良いことなど、申請前の注意点についても説明しますので、介護認定を考えている方は準備にお役立てください。

要介護認定とは

要介護認定とは、介護サービスの必要度を判断するためのものであり、必ずしも病気の重さと要介護度の高さが一致しない場合があります。

要介護認定には、要支援1〜2、要介護1〜5の等級が設けられています。
要支援より要介護、要介護の中でも数字が大きいほど、介護を必要とする度合いが高いと判断されています。

認定された度合いに応じて、介護保険の適用となる介護サービスの利用限度額が高くなります。

要支援と要介護の違い

上述の通り、要介護認定には要支援と要介護の2種類があります。
両者には必要な介護度が異なるため、以下のように利用できるサービスに違いがあります。

【要支援と要介護の状態・利用できるサービス】

状態 利用できるサービス
要支援 日常生活を送るうえで、多少の支援が必要な状態。介護予防サービスの利用により、状態の維持や改善が期待できる 介護予防サービス(通所型・訪問型サービスを週に1〜2回など)
要介護 誰かの介護がなければ日常生活を送ることができない状態。 介護サービス、通所リハビリ、訪問看護、定期巡回、車椅子など

要介護認定の基準

要介護認定の基準は、以下のような被介護者への介助等にかかる「介護の手間」を時間に換算して定められます。

【要介護認定等基準時間に換算される行為】

分類 行為
直接生活介助 入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助 洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為 輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助

参照元:厚生労働省「参考(3)介護保険制度における要介護認定の仕組み」

以上の行為の時間を合算して、1日あたり何分が必要かを計算し、以下の認定基準と照らし合わせます。

【要介護認定の基準】

認定等級 基準
要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満、またはこれに相当する状態
要支援2 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護1 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

参照元:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」

要介護認定の状態の目安

要介護認定の状態の目安について、自立している場合も含めて、次の8段階で説明します。

  • 自立レベル
  • 要支援1レベル
  • 要支援2レベル
  • 要介護1レベル
  • 要介護2レベル
  • 要介護3レベル
  • 要介護4レベル
  • 要介護5レベル

以下では、それぞれについて解説します。

自立レベル

日常生活において、生活支援や見守りの必要がない状態のことです。誰かの助けを求めることなく一人で生活することができます。

65歳以上であっても、介護保険サービスは受けられない状態です。

要支援1レベル

基本的な生活の動作は一人で行なうことができますが、家事や立ち上がりなど一部の動作に見守りや手助けが必要な状態です。

改善のために、訪問入浴や訪問介護、訪問看護、デイサービス、デイケアなどの介護サービスを利用することができます。

要支援2レベル

歩行や立ち上がり時に支えを要するなど、要支援1よりも見守りや手助けが必要で介護が必要になる可能性が高い。

受けられるサービスは要支援1と同様の介護サービスです。

要介護1レベル

日常生活や立ち上がり、歩行に一部の介助が必要な状態です。認知機能低下が少しみられる場合もあるでしょう。

要支援2よりも日常生活を送ることが難しく、要介護2よりは認知機能が保たれていて日常生活が送りやすい状態です。

軽度の認知症により要介護1となることがあります。

利用できるサービスには要支援2のものに加えて、訪問入浴や訪問リハビリなどが追加されます。訪問型サービス、通所型サービス、複合型サービス、福祉用具のレンタル、施設介護サービスなどが利用できます。

要介護2レベル

要介護1よりも日常生活動作に介助や手助けが必要で、認知機能にも低下がみられる状態のことです。

金銭管理などのサポートも必要になりますが、介助や見守りがあれば身の回りのことはできる状態です。

受けられるサービスは要介護1と同様ですが、介護サービスの利用に対する支給限度額が多くなります。

要介護3レベル

日常生活動作に全体的な介助が必要であり、立ち上がりや歩行は一人では難しく、杖・歩行器・車いすがないと生活ができない状態です。

要介護2では見守ることによって自力で行なえることがいくつかあったのに対し、要介護3では認知機能の低下がみられ、自力で行なえることがより少なくなります。

受けられるサービスは要介護2と同様ですが、介護サービスの利用に対する支給限度額が多くなります。

要介護4レベル

要介護3以上に生活全般で介助が必要な状態です。思考力や理解力も著しく低下し、不安行動がみられることもあります。介護のない生活は難しい状態です。

受けられるサービスは要介護3と同様ですが、福祉用具のレンタルで自動排泄処理装置が利用できるようになります。また、介護サービスの利用に対する支給限度額も多くなります。

要介護5レベル

日常生活全体で介助を必要とし、コミュニケーションを取るのも難しい状態で介護がないと生活はできません。
口から食べ物を摂ることが難しい場合もあります。

受けられるサービスは要介護4と同様で、介護サービスの利用に対する支給限度額が最も多くなります。

介護保険サービスの利用限度額

要介護認定を受けると、介護保険サービスを受けられるようになります。

訪問サービスや通所サービスなどの居宅サービス、指定有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに入所する特定入居者生活介護などが対象です。

介護保険サービスを利用する際の金額は、要介護度の等級によって決められた利用限度額の範囲内であれば、所得に応じて1割〜3割負担となります。

利用するサービスが居宅サービスか特定施設入居者生活介護かによっても利用限度額は異なります。

居宅サービス

自宅で介護サービスを受けるものを居宅サービスといいます。
居宅サービスの利用限度額は要介護認定の等級によって以下のように定められています。

【居宅サービスの利用限度額・自己負担額】

等級 1か月あたりの利用限度額 自己負担額(1割の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

参照元:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索|サービスにかかる利用料」

介護保険が適用される限度額に収めるように介護プランを計画し、無理のない自己負担額で抑えることが大切です。

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護とは施設で行なわれる介護サービスで、指定有料老人ホームや軽費老人ホームなどで食事などの機能訓練のサービスが該当します。

特定施設入居者生活介護の利用限度額も要介護認定の等級によって以下のように定められています。

【特定施設入居者生活介護の利用限度額・自己負担額】

等級 1か月あたりの利用限度額 自己負担額(1割の場合)
要支援1 54,600円 5,460円
要支援2 93,300円 9,330円
要介護1 161,400円 16,140円
要介護2 181,200円 18,120円
要介護3 202,200円 20,220円
要介護4 221,400円 22,140円
要介護5 242,100円 24,210円

参照元:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

要介護認定で利用できる福祉用具

要介護認定を受けると、福祉用具のレンタル費用が給付されます。

【レンタルの給付対象となる福祉用具と要介護認定の等級】

福祉用具 要介護認定の等級
手すり 要支援1~要介護5
スロープ 要支援1~要介護5
歩行器 要支援1~要介護5
歩行補助つえ 要支援1~要介護5
車いす(付属品含む) 要介護2~要介護5
特殊寝台(付属品含む) 要介護2~要介護5
床ずれ防止用具 要介護2~要介護5
体位変換器 要介護2~要介護5
認知症老人徘徊感知機器 要介護2~要介護5
移動用リフト(つり具の部分を除く) 要介護2~要介護5
自動排泄処理装置(排便機能有) 要介護4~要介護5

参照元:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

給付対象外の要介護認定の等級であっても、対象者の状態によっては例外的に認められる場合もあります。

レンタルではなく、以下のように購入に対して給付がされる特定福祉用具もあります。

【購入の給付対象となる特定福祉用具】

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部
  • 排泄予測支援機器
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部分

要介護認定により入居できる施設

要介護認定を受けることで有料老人ホームなど入居の対象となる施設があります。
施設への入居を検討している場合は、要介護度に合わせて選ぶことがおすすめです。

【要介護度によるおすすめの施設】

区分・等級 おすすめの施設
自立・要支援の人 住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅
要介護1~2の人 サービス付高齢者向け住宅、軽費老人ホーム、グループホーム
要介護3~5の人 介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、介護医療院
認知症のある人 グループホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(介護・認知症タイプ)

要介護認定を受けるには?

要介護認定は以下の手順によって受けることが可能となっています。

【要介護認定の流れ】

  • 要介護認定の申請
  • 認定調査員による訪問調査
  • 主治医意見書の作成
  • コンピューターによる一次判定
  • 介護認定審査会による二次判定
  • 審査結果の通知

申請から結果の通知までには原則30日がかかるとされていますが、審査に時間がかかって30日以上かかることもあります。

➀要介護認定の申請

申請は市町村の窓口や地域包括支援センターで受け付けています。
以下のものが必要になりますので準備しておきましょう。

  • 介護保険被保険者証または健康保険証…65歳以上(第1号被保険者)の方は介護保険被保険者証、40歳〜64歳(第2号被保険者)の方は健康保険証
  • 要介護、要支援認定申請書
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 診察券(主治医の医療機関名・主治医の氏名・住所が分かるもの)

本人が申請できない場合は、家族や親族、地域包括支援センターの職員、介護保険施設の職員、居宅介護支援事業者が代理で申請ができます。その場合は以下も必要になります。

  • 委任状
  • 印鑑
  • 代理人の身元が確認できるもの

➁認定調査員による訪問調査

どれくらいの介護が必要かを調べるために、市町村の職員である認定調査員による訪問調査が行なわれます。
基本的には申請から10日前後で調査が行われ、職員が自宅に訪問し約1時間で終わります。

調査の種類は、概況調査、基本調査、特記事項等の3つです。基本調査の項目は74項目と詳細に分かれており、身体機能や生活機能、認知機能、精神障害などが調査されます。

③主治医意見書の作成

主治医による医学的な観点から、介護の必要性について記載されたものが主治医意見書です。
本人の状況を理解していない医師だと、申請者の状態を理解しきれていないと判断されて、意見書の作成が断られる可能性があります。

主治医がいない場合は自治体に紹介された医師によって意見書作成が可能ですが、早いうちに主治医を決めておくほうが良いでしょう。

④コンピューターによる一次判定

客観的な判断をするために、一次判定はコンピューターによって、要介護認定ソフトを使った判定が行なわれます。
調査員による訪問の結果と医師の意見書を元に、介護に必要な時間が分析されます。

⑤介護認定審査会による二次判定

介護認定審査会では、調査員による訪問の結果と医師の意見書を元に、医療や福祉の専門家によって、人の目で判定が行なわれます。

調査票の特記事項の確認や、主治医の意見書から読み取れる診療状況や特別な医療状態の確認、一次判定の結果と要介護度のモデルとの照らし合わせなどが専門家によって行なわれます。

⑥審査結果の通知

結果は、非該当(自立)、要支援1〜2、要介護1〜5の8段階で、申請から30日以内で通知されます。

結果に納得がいかない場合は、認定結果に対する不服申し立てをすることができます。結果を受け取った翌日から3ヶ月以内に各都道府県に設置されている介護保険審査会に申し立てが可能です。

要介護認定には有効期限がある

介護認定の有効期限は新規の申請時では6ヶ月、更新後は12ヶ月となっています。

市町村が必要と認める際には、新規では3ヶ月〜12ヶ月、更新時は3ヶ月〜48ヶ月の間で市町村が定める期間となる場合もあります。

更新は自動で行われないため、市役所や地域包括支援センターで更新手続きを行いましょう。

また、 要介護認定の有効期限内でも、状態の悪化が見られたら区分の変更申請を行うことができます。要介護度によって受けられるサービスや支給限度額が異なるため、区分の変更申請を受けておいた方が良いと考えられます。

区分変更は、市町村の窓口で区分変更申請書を主治医の意見書と提出することによって申請が可能です。結果が出るまでには1ヶ月ほど必要となります。

まとめ

要介護認定は自立と要支援、要介護で8段階に分かれています。
それぞれで受けられる介護保険サービスがあり、申請から結果の通知まで日数を要するため、介護の懸念がある方は早めに申請しておきましょう。

申請には主治医の意見書が必要になりますので、かかりつけ医も早めに決めておくことがおすすめです。