「見学したい老人ホームを見つけたけど、どこをチェックしたら良いかわからない…」
老人ホームは入居後の長い生活を過ごすかもしれない場所。選び方は慎重にしたいものですが、どこを見ていけば良いのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは老人ホームの見学で確認しておくべきチェックポイントを説明いたします。
老人ホームを選ぶなら見学は必須!
ホームページやパンフレットなどから老人ホームについて知ることができますが、スタッフや施設の雰囲気など、実際に足を運んでみないとわからないことは多いものです。
思わぬことで後悔する場合もあるかもしれませんので、気になる老人ホームを見つけたときは必ず見学をしておきましょう。
良い介護施設とは
結論から言うと“いかに過ごしやすいように配慮されているか”が大切です。
例えば、介護サービスが整っているか、医療面の心配がないか、スタッフの対応やホームの雰囲気はどうかなどが、確認しておきたいこととしてあげられるでしょう。
食事メニューや介護体制、内観や外観などは資料からでもわかることが多いですが、スタッフや入居者の雰囲気・表情、立地条件などは見学してみないとわかないことであり、感じ方には個人差があるものです。
誰かの口コミが自分に合わない場合や、高額だからといって必ずしも良い介護施設ともいえません。良い介護施設かどうかは自身の目で確かめてみることが大切です。
有料老人ホームの見学時チェックリスト
ここでは、老人ホームの見学時にチェックしたい項目をリストアップします。
【見学時のチェックリスト】
項目 | |
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建物・設備に関するチェックポイント |
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スタッフに関するチェックポイント |
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医療連携やリハビリに関するチェックポイント |
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契約内容に関するチェックポイント |
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その他サービスに関するチェックポイント |
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職員に質問できるときなどは、上記のチェックリストを活用するとよいでしょう。
建物・設備に関するチェックポイント
建物や設備に関するチェックポイントとして、以下の項目などを確認しておきましょう。
- 居室の使い勝手・動線
- 共有スペースの居心地
- 入浴設備の充実・安定性
- 清掃やメンテナンスの状況
- 施設の周辺環境やアクセス
それぞれについて、説明します。
居室の使い勝手・動線
居室は毎日過ごす場所なので、使い勝手や動線について確認しておくことが大切です。
広さ・トイレ・洗面化粧台・キッチン・インターネット設備・ベランダ・収納・洗濯スペースなどの確認をしておきましょう。
また、ナースコールが押しやすい場所にあるかどうか、介護ベッドのレンタルの必要性、家具の持ち込み可否についても確認しておくことが大切です。
入居してから不自由を感じないかどうかを基準に見ておきましょう。
共有スペースの居心地
食事、リハビリ、レクリエーションなどを行なうときに過ごすのが共有スペースです。
居室と同じくらい過ごす時間が長い場所になりますので、こちらの使い勝手や雰囲気もチェックしておきましょう。
食堂や機能訓練室、多目的ホールなどを見ておく必要がありますが、このような共有スペースは施設によっても大きく変わるポイントです。
広さや手すり、車椅子でも通りやすいかどうか確認しておくとよいでしょう。
入浴設備の充実・安定性
自身で入浴ができる方でも、長期的には入浴の介護が必要になることが考えられます。
入浴設備も施設によって差があるポイントなのでチェックしておきましょう。
手すりやスロープが設置されているか、介護状態に合わせて機械浴(座ったまま入浴できるチェアー式・寝たまま入浴できるストレッチャー式)はあるかなどがチェックポイントです。
清掃やメンテナンスの状況
普段から過ごす場所なので清掃状況の確認は大切です。
居室だけでなく廊下や共有スペースにゴミや食べかすが落ちていないか、全体的に整理整頓がされているかなどを確認しておきましょう。
トイレの便器周辺は、排泄介助が不必要な方でも汚してしまう場合があります。汚れたときにすぐ清掃しないとずっと残るものでもあるため、年月を感じさせるような汚れがないかは施設の対応力が見えるポイントになります。
施設の周辺環境やアクセス
家族と会いやすい立地か、施設周辺は散策がしやすく、買い物もしやすいかを見ておきましょう。
入居してすぐは、入居者も家族側も不安を感じやすい時期です。寂しい思いや不安な思いを和らげるためにも、施設と家が近いかどうかは大切なポイントといえるでしょう。
スタッフに関するチェックポイント
スタッフに関しては以下のチェックポイントが挙げられます。
スタッフの働き方、施設長の方針と運営の実態に矛盾がないかどうかが着眼点です。
- 人員体制や離職状況
- 職員の接遇や身だしなみ
- 施設長の人柄や運営方針
人員体制や離職状況
介護付有料老人ホームは要介護者3人に対して、1人以上の介護職員又は看護職員を配置する義務があります。
人員体制は、要介護者の数に対してどれくらいのスタッフが割り当てられているかを確認しておくと良いでしょう。要支援者では10人につき、1人以上のスタッフを配置する義務があります。
離職状況については、スタッフの勤続年数が長いか、また、研修制度が整っているかどうかなどもチェックしておくと良いでしょう。
離職率が高いと、せっかくスタッフとの信頼関係が築けても入れ替わってしまうリスクに繋がります。
職員の接遇や身だしなみ
スタッフの雰囲気や態度、身だしなみに好感が持てるかどうかを確認しましょう。受け答えの誠実さや、コミュニケーションの適切さが見ておくべきことです。
またスタッフだけでなく、他の入居者の表情や雰囲気を確認しておくと、より理解することができるかもしれません。
施設長の人柄や運営方針
もし見学時に施設長と話せる機会があるなら、運営方針や施設の長所、職員の教育方針などについて聞いておくと、より施設に対する理解が深まるでしょう。
なかには、施設長のいうことと実態に齟齬を感じる場面もあるかもしれません。
医療連携やリハビリに関するチェックポイント
医療連携やリハビリに関するチェックポイントは以下の通りです。
- 協力医療機関との連携
- ケア体制の内容
- 健康管理の体制
- リハビリ支援の充実
- 介護予防や自立支援の取り組み
健康管理やリハビリなど日常のケアが行き届いているか、医療機関との連携が取れているかが大切です。
協力医療機関との連携
健康な方でも突然の体調の変化や、想像したくはありませんが思わぬ病が見つかる場合もあります。
そんなときにも適切な対処をしてもらえるよう、医療機関との連携について確認しておくことがとても大切です。
病院名や診療科などの基本的なことから、訪問診療が受けられるかどうかも確認しておきましょう。
ケア体制の内容
施設のケア体制には、主に「ユニットケア」、「フロア分けケア」、「混在型ケア」の3種類があります。
それぞれに特徴がありますので、気になる施設はどのタイプか確認しておきましょう。
ケア体制 | 内容 |
---|---|
ユニットケア | 1ユニットが約10名の入居者と固定のスタッフで構成され、顔馴染みの人たちと過ごせるタイプです。 |
フロア分けケア | 各階を1フロアとして入居者とスタッフをグループ分けするタイプです。認知症のフロアを設置するなど、介護度でフロア分けをしている施設があります。 |
混在型ケア | 介護度が異なる入居者をまとめてケアしており、全スタッフが入居者の身体状況を把握しているタイプです。 |
健康管理の体制
健康診断や訪問診療などがどれくらいの頻度で行なわれているかを確認しておきましょう。
また、看護師の滞在時間帯や、看護師がいないときの緊急対応やオンコール体制、服薬のサポートについて職員に確認しておくことも大切です。
リハビリ支援の充実
リハビリは認知機能や運動機能の維持に大切なことです。リハビリの内容や設備の充実度、機能訓練指導員の配置状況について確認しておきましょう。
また、見学時にリハビリの様子を見せてもらえるか相談しておくとよいでしょう。
介護予防や自立支援の取り組み
レクリエーションの参加やトレーニングなどの機能訓練によって、介護予防や自立支援に対する取り組みをされている施設が多いです。
介護予防運動指導員などの専門職員の配置を行なっている施設もありますが、配置の義務はありませんので、施設によって差が出やすい部分でもあります。
入居生活中の楽しみにつながる部分でもあるので、どのようなサービスが利用できるかを確認しておきましょう。
契約内容に関するチェックポイント
「こんな条件聞いてなかった」とならないように契約内容の確認も欠かせません。
入居や退去、料金に関することは確実に確認しておきましょう。
- 入居条件や退去要件
- 利用料金
- 個別対応の可否
- 入居一時金の償却条件
入居条件や退去要件
介護状態、認知症や病気の状況、医療対応や療養食の対応、収入、身元保証人・引受人などの有無によって入居できるかどうかが決まります。
また、入居後でも、施設側で対応しきれない場合は退去せざるを得ない場合があります。どのような病気が起こったら退去要件に当てはまるか、また、看取りが可能かどうかなどを明確に確認しておきましょう。
利用料金
入居費用や月額の利用料は、資料やパンフレットから大まかには確認できますが、詳細なことは職員に確認しておきましょう。
光熱水費やレクリエーション参加費、おむつ代、療養食による追加料金、買い物代行などの生活支援サービスなど別途費用が発生する場合があります。
想定外の出費で悩まないために、余裕をもってシミュレーションしておきましょう。
個別対応の可否
医療対応やリハビリなど、個別の対応が可能かどうか確認しておきましょう。
糖尿病や腎臓病など持病のある方や嚥下力(飲み込み力)が低下した方の場合、治療食や個別食の対応が可能かを確認しておくことも大切です。
見学時にスタッフに聞いておくとよいでしょう。
入居一時金の償却条件
入居時の資金は高額になりやすいものですが、早期に退去した場合は償却によって返金される場合が多いです。慎重に選んだ施設でも、入ってみるとうまく馴染めなかったり、別の理由で退去したりする場合もあるかもしれません。
計算は施設ごとに異なり、複雑な場合が多いので、スタッフに確認することをおすすめします。
その他サービスに関するチェックポイント
最後に、上記以外のチェックポイントについて説明します。
- 食事の内容
- レクリエーションの内容
- 家族の面会への対応
いずれも入居生活の質につながることなので、しっかりと確認しておきましょう。
食事の内容
共有スペースなどにある掲示板、パンフレットなどに献立が載っている場合があります。
お昼時に見学すると、食事内容だけではなく別の入居者のさんの食事内容だけでなく、食事介助の風景を見ることもできます。中には、食事付の見学ができる施設もあります。ただ、お昼は施設が忙しい時間帯なので見学できない場合もありますが、一度打診してみるとよいでしょう。
レクリエーションの内容
掲示物やパンフレットなどから、レクリエーションやイベントの内容も確認しておきましょう。
入居生活中の他の方とのコミュニケーションや、生きがいにもつながることです。
季節ごとにイベントが企画されていたり施設ごとで特色があったりしますので、イベント内容や参加に必要なものなど詳しいことはスタッフに確認してみてくださいね。
家族の面会への対応
現在、面会方法は多岐にわたります。面会場所・時間帯、面会時の家族分の食事、宿泊可否、オンライン面会など、施設によって異なるものなので、詳細はスタッフに確認しておきましょう。
なかには、家族が宿泊できるゲストルームを準備している施設もあります。
有料老人ホームの見学に行く前の準備
有料老人ホームをチェックするためには、事前の準備が重要です。
パンフレットの確認
まずはパンフレットを読んだ時点で良いと思う施設を見学するとよいでしょう。アクセスの情報や居室の写真、献立、レクリエーション内容、医療・看護体制、リハビリ、運営方針などある程度のことはパンフレットから確認できます。
インターネット上ですぐに確認できる施設も多いので、まずはパンフレットから確認してみましょう。
口コミ評判の確認
口コミからはパンフレットやスタッフから聞けない第三者目線の評判を聞くことができます。
ネット上の口コミサイトやGoogleマップの評判だけでなく、可能であれば近隣の飲食店や、通行人に施設の評判を聞いてみるとよいでしょう。
ただし、あくまで第三者の意見になりますので、参考程度にとどめておきましょう。
有料老人ホームを見学する回数・時間帯
見学回数の上限は特に決められていません。気になることがある場合は何度か、違う時間帯で見学するとよいでしょう。
失敗のない施設選びをするためにも、複数の施設を見学しましょう。
時間帯はお昼時がおすすめです。スタッフや入居者が集まる時間なので、施設全体の雰囲気を感じやすいです。お昼時なら食事の試食をさせてもらえる場合がありますので、気になる方は見学予約時に相談しておきましょう。
また、レクリエーションを重視するならその時間帯の見学をしましょう。ただし、施設ごとの比較をしやすいようにするため、複数の施設を見学する場合は、見学時間を統一するのがおすすめです。
有料老人ホームを見学するときのマナー
老人ホームを見学するときには守るべきマナーとして、以下が挙げられます。
これから入居するかもしれない施設なので、失礼のないようにしておきたいですね。
- 事前に予約を取る
- 予約した時間を厳守する
- 当日に予約時間に多少の変更がある場合は連絡を入れる
- 清潔感のある服装を選ぶ
- 小さな子供は連れて行かない
- 入居者に無断で話しかけない
- 大声で話さない
また、見学は1人よりも2~3人のほうが気付きが多くて良いでしょう。家具を置くスペースを測るためにメジャーやカメラの準備もおすすめです。
まとめ
入居後に納得のいく生活を送るためにも、見学は欠かせないことです。パンフレットや口コミが良くても、実際に足を運ぶことをおすすめします。
見学時には確認しておいたほうが良いことは多くありますので、このページを印刷等して、準備にお役立てください。