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介護付有料老人ホームの費用はいくら?入居費用の相場や内訳を詳しく解説

介護付有料老人ホームの費用と聞くと、とても高額なイメージをもたれる方が多いかもしれません。
入居一時金、月額利用料とその内訳、償却など、たくさんの言葉が登場して調べれば調べるほど混乱してしまう方もいるのではないでしょうか。

ここでは、介護付有料老人ホームの費用について解説し、クーリングオフやより介護費用の負担を抑える制度などについても説明します。

介護付有料老人ホームの費用相場

介護付有料老人ホームは有料老人ホームの1つであり、介護を必要とする高齢者が生活支援を受けながら住むことができる施設のことです。

有料老人ホームには住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームがありますが、介護付有料老人ホームは介護へのニーズに応えるための老人ホームです。

介護付有料老人ホームの平均の月額費用は約22.7万円ですが、10万円未満の施設から30万円以上の施設があり、費用に幅があります。

30万円以上のタイプが32.8%以上、次いで25万円〜30万円未満が18.3%、20万円〜25万円未満が12.3%となっています。

※参照元:厚生労働省「特定施設入居者生活介護」

介護付有料老人ホームには想定入居期間の利用料を一部または全額、入居一時金として支払う必要がある施設もあります。

入居一時金がなければ初期費用は0円ですが、入居一時金がある場合は数百万円~数千万円が入居時に必要です。

介護付有料老人ホームの費用の内訳

介護付有料老人ホームの費用には、以下の例のように、入居時一時金と月額利用料があります。
(例)

上記の例のように、月額利用料の中には介護サービス費の自己負担額・上乗せサービス費・居住費・食費・その他の費用が含まれます。

入居一時金

入居一時金は家賃の前払いのようなものであり、一定の入居期間を想定してまとめて家賃を支払うことです。

一括で全て払う場合と一部を支払う場合があるため、初期費用は数十万円のものから数百万円、数千万円と大きく変動します。

なかには入居一時金を0円として、その分を月額利用料に分散し、毎月の費用を少し高く設定しているところもあります。

初期費用が高いほど月額利用料が安くなる傾向にありますが、まとまった資金を準備できない方は入居一時金のかからない施設を選ぶと良いでしょう。

月額利用料

続いて、介護サービス費や上乗せサービス費、居住費などの月額利用料の内訳について説明します。

介護サービス費

介護サービス費は、何らかの介護サービスを利用する際に必要になる費用です。介護付有料老人ホームでは、リハビリや生活支援などの介護サービス費用は定額となっています。

介護サービスをあまり利用しない人にとっては高額に感じるかもしれませんが、介護サービスを利用する必要がある方や介護度が重くなった場合は、支払いの計画を立てやすいというメリットがあります。

介護サービスの費用は介護保険の適用となり、要介護認定の等級ごとで定められた限度額内であれば、所得状況によって1割負担〜3割負担で利用することが可能です。

【特定施設入居者生活介護の利用限度額・自己負担額】
区分 1か月あたりの利用限度額 自己負担額(1割の場合)
要支援1 54,600円 5,460円
要支援2 93,300円 9,330円
要介護1 161,400円 16,140円
要介護2 181,200円 18,120円
要介護3 202,200円 20,220円
要介護4 221,400円 22,140円
要介護5 242,100円 24,210円

参照元:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

上乗せサービス費

通常の介護サービスよりも手厚いケアをした際にかかる費用が上乗せサービス費です。

介護付有料老人ホームの人員配置は、入居者3人に対して1人の介護スタッフの配置が義務となっていますが、施設によっては要介護者2人に対して1人を配置するなど、定められた基準よりも手厚い体制を整えているケースがあります。

施設の規模や人員体制によって、上乗せ介護費用の額は異なりますので、気になる施設がある場合は確認しておきましょう。

居住費

居住費は家賃と同じ位置付けの費用で、費用は立地や築年数、広さなどによって決まります。
場所によって差がありますが、安ければ5万円ほど、高ければ30万円近くになるでしょう。

食費

食費は、毎日提供される3食の食材費やおやつ代、調理費、人件費等から必要になります。1 食あたり数百円から1,000円まではかからないほどで、定額で設定されている施設もあります。

施設によっては、栄養管理のされた食事や療養中の方向けの食事、季節に合わせたメニューや、豪華なメニューなども準備されているでしょう。

その他費用

その他費用には以下のものが該当します。

  • 管理費:水光熱費、共有スペースの維持費など
  • 医療費:通院回数や医療内容によっては利用料に含まれることもある
  • 日用品の購入費:歯ブラシやティッシュ、おむつなど

外部のサービスを利用する場合の自己負担額

介護付有料老人ホームの費用には介護サービスの利用料が含まれていますが、外部の居宅サービスを利用する場合には、別途費用が必要になります。

居宅サービスの利用にも介護保険が適用されますが、以下のように特定施設入居者生活介護とは自己負担額が多少異なります。

【居宅サービスの利用限度額・自己負担額】

区分 1か月あたりの利用限度額 自己負担額(1割の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

参照元:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索|サービスにかかる利用料」

介護付有料老人ホームの費用の支払い方式

介護付有料老人ホームの費用の支払い方式は、入居一時金を用意する場合としない場合に分かれます。

そして、入居一時金を用意する場合では、全額を前払いするケースと一部を前払いするケースの2つに分かれており、ここに前払いなしが加わって3つの支払い方式があると認識しておきましょう。

全額の前払い

全額前払い方式では、想定入居期間にかかる利用料を入居時に支払います。

まとまった資金が必要になるというデメリットがありますが、入居後に居住費が発生しません。想定期間を過ぎた場合も追加の賃料が発生しないという点は大きなメリットといえるでしょう。

一部の前払い

想定入居期間にかかる利用料の一部を入居時に前払いし、残りを毎月支払う方式です。
全額の前払いよりも少額の支払いで済み、入居後の月額利用料を抑えることができます。

前払いなし

入居時に前払いせず、月額利用料として毎月支払っていく方式です。

まとまった資金がなくても入居することが可能ですが、前払いにあたる金額が分散されて毎月の支払いになるため、月々の支払いが少し高くなります。

入居一時金の償却方法

施設の退去時、入居一時金の一部が返金される制度が償却です。

入居時に想定していた期間よりも短い期間で退去するときには、入居一時金を支払い過ぎていることになるため、その分が返金されます。

【返還金の計算方法】

返還金=入居一時金×(1-初期償却率)÷償却月数×(償却月数-入居月数)

例として、以下のケースでの返還金を計算すると、84万円が返還されることになります。

  • 入居一時金:300万円
  • 初期償却率:30%
  • 償却期間:5年(60か月)
  • 入居月数:3年(36ヶ月)で退去

【計算式】

返還金=300万円×(1-30%)÷60ヶ月×(60ヶ月-36ヶ月)=84万円

初期償却がある

初期償却とは、入居時に一定の割合の金額が手数料として償却(減額)される仕組みです。

初期償却後に残った金額から毎月の償却が始まります。初期償却の割合は15%〜30%であることが多いでしょう。

入居一時金から初期償却を引いた額から1年目、2年目、3年目と年ごとに施設で決まった割合が償却されます。

初期償却がない

入居一時金から初期償却(減額)されることがなく、支払った入居一時金の額から毎月償却されていきます。

入居後90日以内ならクーリングオフが可能

クーリングオフとは、契約の申し込みや締結をした場合でも契約を考え直すことができるようにして、一定の期間内であれば無条件で契約の申し込みの撤回や、契約解除が行なえる制度です。

介護付有料老人ホームでは、入居後90日以内ならクーリングオフが可能であり、この場合は初期償却がされずに入居一次金が返金されます。
ただし、実際に入居した日数や、必要な修繕費などは支払うことになる場合があるため、留意しておきましょう。

介護付有料老人ホームの費用負担を抑える制度

介護付有料老人ホームの費用を準備できない方は、以下の方法で負担を軽減できる可能性があります。

サービスの費用負担を抑える制度

制度 内容
高額介護サービス費制度 介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えた場合、一部が返金される制度
高額医療・高額介護合算療養費制度 医療保険と介護保険の両方で負担が生じた場合、合算後の負担額が軽減される制度

参照元:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索|サービスにかかる利用料」

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度は、介護保険サービスの利用によって自己負担している1割〜3割の金額が、一定額を超えた場合に一部が返金される制度のことです。

負担の上限額は以下のように、本人の所得状況によって異なります。
自己負担額が表右の負担上限額を超えると高額介護サービス費制度の対象となるのです。

【高額介護サービス費制度の対象者・負担上限額】

区分 対象者 1か月の負担上限額
第1段階 生活保護を受給している方等 15,000円(個人)
第2段階 市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
第3段階 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方 24,600円(世帯)
第4段階 ①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満
②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満
③課税所得690万円(年収約1,160万円)以上
①44,400円(世帯)
②93,000円(世帯)
③140,100円(世帯)

参照元:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索|サービスにかかる利用料」

例を挙げると、年収約770万円未満の人で月額50,000円の介護付有料老人ホームに入居する場合、負担上限額44,400円を上回る5,600円が支給されることになります。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の両方で高額な自己負担がある場合に活用できる制度です。

自身で申請しないと返金を受けられないため、注意が必要です。

以下に高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者と負担上限額を示します。

【高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者・負担上限額】

75歳以上
(介護保険+後期高齢者医療)
70~74歳
(介護保険+被用者保険または国民健康保険)
70歳未満
(介護保険+被用者保険または国民健康保険)
年収約1,160万円 212万円
年収約770万~約1,160万円 141万円
年収約370万~約770万円 67万円
年収370万円未満 56万円 60万円
市町村民税世帯非課税等 31万円 34万円
市町村民税世帯非課税
かつ年金収入80万円以下等
本人のみ:19万円
複数:31万円
本人のみ:19万円
複数:31万円

参照元:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索|サービスにかかる利用料」

例を挙げると、年収約360万円、72歳の人は介護保険と医療保険の自己負担額の合計が年56万円なので、負担した額が年75万円の場合、差額の19万円が払い戻しされます。

生活保護受給者も介護付有料老人ホームに入居できる

前述のように、なるべく費用を抑えたい方でも、高額介護サービス費制度や高額医療・高額介護合算療養費制度などの制度を活用することで、介護付有料老人ホームを利用しやすくなります。

生活保護受給者の方でも、生活保護法による制限などは設けられておらず、介護付優良老人ホームなどの利用は可能です。

実際に、公益財団法人全国有料老人ホーム協会が2013年に行なった調査では、全国の介護付有料老人ホームのうち11.3%の施設で生活保護受給者の方が入居していることがわかっています。

参照元:公益財団法人全国有料老人ホーム協会「平成25年度 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業 報告書」

生活保護受給者の方で介護付有料老人ホームに入居したい場合、まずは地域包括支援センターなど社会福祉の窓口で相談をしてみましょう。
地域包括支援センターは生活で困っている高齢者の相談を無料で受け付けており、その人の適した施設の案内や、手続きなどのサポートを行なってくれます。

まとめ

介護付有料老人ホームの費用は、入居一時金と月額利用料が主な項目になります。
高額な資金が必要になる印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、入居一時金の有無など施設によってさまざまです。

入居一時金の償却の仕組みや、費用負担を抑えるための制度は一見理解しがたいかもしれませんが、ここでしっかりと理解して今後の計画を立ててみてくださいね。

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