top
サポート トップ エリア 徳川家と深いつながりを持つ歴史ある名刹「傳通院」

徳川家と深いつながりを持つ歴史ある名刹「傳通院」

文京区小石川3丁目にある傳通院(でんづういん)は、徳川家康の生母・於大(おだい)の方(かた)の菩提寺として知られる寺院です。

境内には、二代将軍秀忠の長女・千姫、三代将軍家光の正室・孝子、家光の次男・亀松など、徳川家にゆかりのある人物が眠っています。

ゆったりと参拝できる静かなお寺ですが、浄土宗の関東十八檀林の一つでもあり、かつては1000人もの学僧が寄宿して修行勉学に励んでいたそうです。

徳川将軍家の庇護を受けた名刹

傳通院の正式名称は「無量山傳通院寿経寺」といいます。

1415年、浄土宗第七祖の了誉聖冏(りょうよしょうげい)上人が、山号を無量山、寺号を寿経寺とする「無量山寿経寺」を開創。

当時は小さな草庵で、小石川極楽水(現在の小石川4丁目/小石川パークタワー敷地内)に位置していました。

約200年後となる1602年、江戸幕府が開かれる前の年に、徳川家康の生母である於大の方が京都の伏見城で逝去。

埋葬の際に家康公が寿経寺を現在の地に移して菩提寺としたことから、於大の方の法名である「傳通院」が寺の名前に使われるようになりました。

過去に四度もの大火事に遭っており、第二次世界大戦時に受けた東京大空襲では建物や宝物など全てが焼失するも、1949年に本堂が復興。

1988年に二度目の再建が行われ、現在の本堂が建立されました。

1997年には檀信徒会館の「繊月(せんげつ)会館」、1999年には墓地管理事務所兼休憩所の「観音堂」、2012年には総ヒノキ造りの美しい山門が完成しています。

緩やかな坂道を歩いて小石川の高台へ

傳通院への最寄りとなるのは、地下鉄の春日駅と後楽園駅です。

両駅は連絡駅としてつながっており、後楽園駅では東京メトロ丸ノ内線と南北線、春日駅では都営三田線と大江戸線が使えます。

どちらの駅からも坂道を経由して、徒歩10分ほど。

駅のある場所から北に向かってしばらく歩き、西側に上る「善光寺坂」を行くか、駅から西方向に緩やかに上る「春日通り(富坂)」からアクセスできます。

都バスを使えば、春日通り沿いにある「伝通院前」のバス停から徒歩2分。

入り口となる山門は、通りから北側に入った先に位置していますが、江戸時代の絵入り地誌「江戸名所図会」には、現在の春日通りに面した総門が描かれています。

山門から本堂を背にして春日通り方面を眺めると、かつての傳通院の敷地の広がりに思いを寄せることができるでしょう。

少し歩くだけで幾重にも変化する街の姿

傳通院の周りは静かな住宅街となっており、通学時間帯には小学生や保護者、制服姿の女子生徒の姿が多く見られます。

東側に隣接している小石川淑徳学園中学校・高等学校は、浄土宗の尼僧・輪島聞声(わじまもんじょう)が明治25年に創設した淑徳女学校が前身。

すぐ近くにある文京区立礫川(れきせん)小学校も、令和4年に開校150周年を迎えている歴史のある学校で、開校時には傳通院内にあった開山堂を借りていたそうです。

交通量のある春日通りまで出て坂道を下ると、文京区役所がある「文京シビックセンターの」高層ビルや、「東京ドームシティ」のジェットコースターが視界に入ってきます。

一方、善光寺坂を下りた先には、24時間営業の「ダイエー小石川店」や地元に愛される「えんま通り商店街」があり、少し歩くだけで街の光景が異なるのが印象的です。