文京区大塚にある「護国寺」は、江戸の面影が随所に感じられる名刹です。
広大な敷地の中央に立つ「観音堂(本堂)」は、元禄時代の建築工芸の粋が集結された大建造物で、雄大な佇まいが圧倒的な存在感を放っています。
境内には富士山を模して作られた富士塚の「音羽富士」や、願いを一言だけ叶えてくれる「一言地蔵」などもあり、ご利益をいただけるパワースポットとしても知られています。
徳川綱吉の生母の願いにより創建
護国寺は、五代将軍・綱吉の生母である桂昌院の発願により、1681年に創建された祈願寺です。
過去二度にわたって大災害に襲われながらも、観音堂(本堂)は元禄以来の姿を変えることなく江戸の面影を今に伝えており、国の重要文化財にも指定されています。
本堂に使用されている木材は、大部分が欅(けやき)。
直径50センチにもなる柱が52本も使われていて、創建から300年以上、毎日お経を聞き続けていることから「開運柱」と呼ばれており、柱を抱いて願い事をすると叶えてくれるそうです。
1928年には「月光殿」が大津市(近江)の三井寺から移築されており、桃山時代の書院様式を伝える貴重な建物として、こちらも国の重要文化財に指定されています。
本堂の裏手に広がる墓地には、三条実美、大隈重信、山縣有朋など、幕末から明治を駆け抜けた偉人たちが静かに眠っています。
駅直結ともいえる都会の名刹
護国寺への最寄駅は、東京メトロ有楽町線の「護国寺駅」です。
寺院の名称がそのまま駅名になっているだけあって、地下鉄の駅から地上に出ると、護国寺の入り口となる「仁王門」の堂々とした姿が現れます。
都バスのバス停や、文京区のコミュニティバス「Bーぐる」の停留所もすぐ近くにあるため、参拝にも観光にもアクセスしやすい環境です。
護国寺から隣駅の江戸川橋駅がある南方向に一直線に伸びているのが、かつて将軍の御成道として整備された「音羽通り」。
現在は交通量の多いメインストリートとなっており、日本三大出版社の一つとされる講談社や、系列企業(音羽グループ)の光文社、キングレコードの本社がある通りとして知られています。
音羽通りと平行して走っている「首都高速5号池袋線」の出入口にも近いことから、駅の周辺には都会らしい街の流れがあるものの、護国寺の敷地内は別世界。
音羽通りを眺めるように立つ仁王門が、俗世と聖域の境界になっているかのようです。
安心して暮らせる警備体制が整っているエリア
護国寺周辺エリアの治安の良さは、犯罪率が低いことで知られる文京区の中でもトップクラス。
護国寺の東側には宮内庁が管理する皇族専用の墓地が隣接しており、この「豊島岡墓地」に対する警備体制が、周辺エリアの犯罪抑止にもつながっているようです。
仁王門の手前には「護国寺前交番」、音羽通り沿いには「大塚警察署」の庁舎があり、どちらも独特なデザインながら街に溶け込んでいます。
護国寺の敷地は、日本大学豊山高等学校・中学校や文京区立青柳小学校にも隣接していて、周辺には繁華街や娯楽施設と呼べるような場所はほとんどありません。
安全で落ち着いた暮らしができる反面、大きなスーパーがないといった特徴もありますが、護国寺駅の2駅先は巨大ターミナルの池袋駅。
大型商業施設が集積する駅まで約4分で移動できるので、買い物面で困ることはないでしょう。