文京区本郷にある「本郷給水所公苑」は、東京都水道局が管理する本郷給水所の配水池の上部に造られている公苑です。
多くの花や木に囲まれた苑内にあるのは、武蔵野の雑木林をイメージして作られた和風庭園、バラ園を中心とした開放的な西洋庭園、砂場などがある児童遊園の3つのゾーン。
西洋庭園のバラ園には、約53品種(約300株)ものバラが植えられており、色とりどりの華麗な花々を楽しむことができます。
配水池の人工地盤上に広がるオアシス
給水所とは、浄水場から送られてきた水を一時的にためて配水区域内に配る施設です。
配水池とポンプ設備によって、上水道の配水量の調整や配水系統の切り替えなどを行っており、いわば水道の交差点のような役割を果たしています。
本郷給水所公苑の開苑は昭和期ですが、給水所の誕生は明治期のこと。
東京市水道局(現:東京都水道局)が明治25年にこの地を買収して給水所を建設、6年後の明治31年に配水池が完成しています。
昭和49年に配水池の拡張工事が完了し、その後、配水池の上に公苑を建設する使用許可を文京区が取得しました。
池があって小川が流れる自然豊かな高台の公苑内には、母子像の彫刻や地球儀のオブジェなども設置されており、ベンチもあるのでお花見やピクニックにも最適。
公苑の一角には、平成2年に埋められたタイムカプセル(100年後の2090年に掘り返される予定)の埋設碑もあるなど、ロマンも感じられる都会のオアシスです。
最寄り駅は3駅、歩いて7分の距離
本郷給水所公苑は、南側に流れる神田川沿いの水道橋駅や御茶ノ水駅から歩いて約7分の場所に位置しています。
水道橋駅ではJR総武線(各駅停車)と都営地下鉄三田線、御茶ノ水駅ではJR中央線と総武線(各駅停車)、さらに東京メトロの丸ノ内線も利用できます。
また、公苑の北側には、東京メトロ丸ノ内線と都営地下鉄大江戸線が乗り入れている本郷三丁目駅があり、同じく徒歩約7分でアクセス可能。
地図を見ると、水道橋駅、御茶ノ水駅、本郷三丁目駅の、ちょうど中心に位置していることが分かります。
公苑の敷地内には江戸時代の神田上水が復元展示されており、水道の技術や設備、歴史について無料で学べる「東京都水道歴史館」にも隣接しています。
学生街や史跡、行楽地に囲まれたエリア環境
本郷給水所公苑の南東側の神田川沿いには、順天堂大学や東京医科歯科大学のキャンパスがあり、高校や専門学校などの教育機関も多く存在しています。
同じ神田川沿いでも、本郷給水所公苑から西側となる水道橋駅周辺は観光客で賑わいを見せるアミューズメントエリア。
東京ドーム以外にもホテルやスパ、遊園地など、さまざまなレジャー施設が集結しており東京を代表する行楽地として知られています。
一方、公苑から北側の本郷三丁目駅周辺は近代文学の発信地と呼ばれており、街中には文豪ゆかりのスポットが数多く点在。
タイムカプセルが掘り起こされる2090年には、近隣エリアにどのような光景が広がっているのだろうと、未来に想いを馳せながら散策するのもおすすめです。