東京さくらトラム(都電荒川線)の「早稲田停留場」は、文京区と新宿区の境目近く(新宿区西早稲田)に位置している路面電車の駅です。
早稲田といえば早稲田大学のある学生街というイメージが強いですが、実は穏やかな暮らしができる要素にあふれているエリアでもあります。
駅周辺には、歴史を語る緑豊かな大名庭園、ゴージャスで雄大な景勝を有するホテル、世代を超えて親しまれている公園など、人々の心を引きつけるスポットが多く点在しています。
地域に愛され続ける都内唯一の都電
東京さくらトラム(都電荒川線)は、都内に残る唯一の都電です。
1911(明治44)年に誕生し、かつては東京中を走っていましたが、現在は新宿区の早稲田から荒川区の三ノ輪橋までの12.2キロ(30か所の停留場)を走行しています。
沿線に桜の名所が多いこと、日本を象徴する花であること、国内外の観光客にも親しみやすい名称であることなどから、2017年に「東京さくらトラム」の愛称がつけられました。
都民の足として誕生した路面電車ですが、現在は沿線のスポット巡りの足としても活躍。
レトロな雰囲気を残す車両から丸みを帯びた最新鋭の車両など、さまざまなデザインで緩やかに走りながら、多くの人を魅了し続けています。
早稲田大学への最寄り駅の一つ
早稲田駅と聞くと、東京メトロ東西線の駅を思い浮かべる人も多いでしょう。
どちらの駅も早稲田大学の最寄り駅ですが、両駅間の距離は徒歩で約10分ほど離れており、同名駅でありながら接続駅ではありません。
荒川線の早稲田停留場は早稲田キャンパス(本部)の北側に位置している一方で、東西線の早稲田駅は早稲田キャンパスの南側にあり、戸山キャンパスもすぐ近く。
荒川線の沿線には、鬼子母神前と雑司が谷駅(副都心線)、東池袋四丁目と東池袋駅(有楽町線)、大塚駅前と大塚駅(JR山手線)など、他路線の駅と隣接している停留場がいくつかあり、乗り換え次第で幅広い交通ネットワークにつながることが可能です。
徒歩で東西線の早稲田駅まで移動する場合は、1駅先にJR山手線と西武新宿線が乗り入れる高田馬場駅があるため、池袋駅や新宿方面からのアクセスがスムーズです。
自然とともに時間が流れる街
早稲田停留場の周辺は、豊かな自然を有している環境です。
路面電車が走る新目白通りから1本入ると、新宿区内唯一の回遊式庭園である「甘泉園(かんせんえん)公園」があり、園内は周辺とは別世界の静けさを放っています。
駅から北側に歩いて文京区に入ると、さらに緑の割合が多くなります。
神田川を渡った先には、熊本藩主・細川家ゆかりの「肥後細川庭園」や、壮大な森の庭園に抱かれる「ホテル椿山荘東京」があり、その奥深い歴史や格式の高さが際立ちます。
一方で、区立最大の面積を有する「目白台運動公園」や、神田川沿いにソメイヨシノが咲き誇る「江戸川公園」など、気軽に自然に親しめるスポットも多く、穏やかな暮らしを送れる場所としても魅力的なエリアです。