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要支援1とは?受けられるサービスや要支援2との違い・認定方法を解説

要支援1は介護認定のなかで最も軽い状態を表します。しかし、どのような状態で実際にどのようなサービスが受けられるかわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では要支援1について詳しく知りたい方向けに、要支援2との違い、受けられるサービスなどを解説します。実際に受けるサービスの費用についても触れているのでぜひ参考にしてみてください。

要支援1とは

要支援1とは、日常生活の基本的な動作は自力で行えるものの、部分的な支援を必要とする状態を指します。厚生労働省による「要支援状態」の定義は以下の通りです。

「要支援状態」の定義(法第7条第2項)

身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。

引用:厚生労働省|要介護認定に係る法令

食事やトイレ、入浴などは自力で行えるけど、買い物や掃除にはサポートが必要となる状態が要支援1となります。

要支援1と要支援2の違い

要支援1と要支援2では、身体機能レベルや必要なサポートの度合が異なります。
具体的な違いは以下の通りです。

要支援1 要支援2
一人でできること 食事・排泄・入浴などの基本的な日常生活動作 食事・排泄・入浴などの基本的な日常生活動作
支援を必要とすること 家事や掃除などの応用動作 家事や掃除だけでなく、歩行や立ち上がり、入浴など
介護に必要な時間 25分以上32分未満 32分以上50分未満

要支援1と要支援2どちらも食事や排泄などの基本的な日常生活は自力で可能です。より身体機能の低下があり、必要なサポートの度合いの高い方が要支援2になります。

要支援1の認定基準

要支援1の認定基準は、要介護認定基準時間が1日あたり25分以上32分未満またはこれに相当する状態です。
要介護認定基準時間とは、その方の介護に要する時間を分刻みで表したものになります。要介護認定基準時間に含まれるケアには以下の5つが挙げられます。

  1. 直接生活介助(入浴、食事、排泄の介護)
  2. 間接生活介助(洗濯、掃除といった家事援助など)
  3. 問題行動関連行為(徘徊、不潔行為についての対処)
  4. 機能訓練関連行為(歩行や日常生活の機能訓練)
  5. 医療関連行為(輸液管理や褥瘡の処置などの補助)

これら全体で1日あたりどの程度の時間を要するかによって判定されます。

要支援1に認定される条件、状態の目安の例は以下の通りです。

  • 椅子から立ち上がる際に補助を要する
  • 部屋の掃除や買い物などの複雑な動作に介助が必要
  • 食事やトイレは自力で行える

要支援1の判定を正確に受けるためには、家族同伴で認定調査を受けるようにしましょう。本人のみで調査を受けると、緊張や見栄から普段より良く見せてしまい、本来の状態がわからなくなることもあります。家族から普段の生活状況をしっかりと認定調査員に伝えることが重要です。

要支援1で受けられるサービス

要支援1で受けられる主なサービスは以下の通りです。

  • 通所型サービス
  • 訪問型サービス
  • 宿泊型サービス
  • 施設入所型サービス
  • 地域密着型サービス
  • 福祉用具の貸与・購入

それぞれ解説します。

通所型サービス

通所型サービスは自宅で生活する利用者が施設に通い、リハビリや生活支援を受けるサービスです。施設や内容によって半日型や1日型などがあります。要支援1で利用できる主な通所型サービスは以下の通りです。

サービス 概要
通所介護(デイサービス) 通いで介護サービスを提供する施設で、健康状態のチェックや機能訓練、日常生活の支援が受けられます。
通所リハビリテーション(デイケア) 専門的なリハビリを提供する施設で、できるだけ自力で生活したいという方向けのサービスです。個々の目標に合わせた選択的なリハビリが提供されます。
認知症対応型通所介護 認知症の方専門のデイサービスです。認知症に適した運動やレクリエーションなどの機能訓練や生活支援が提供されます。

要支援1の場合、週1~2回の頻度で利用可能で、週に1回デイサービスを利用した場合の費用例は月1000~2000円程度です。頻度や費用については各自治体によって異なるので事前に確認するようにしましょう。

訪問型サービス

訪問型サービスは介護士や看護師、理学療法士などによる生活支援やリハビリが自宅で受けられるサービスです。要支援1で利用できる主な訪問型サービスは以下の通りです。

サービス 概要
訪問介護 訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、身体や家事に関する支援が提供されます。
訪問入浴介護 看護師と介護職員が自宅を訪問し、専用の簡易浴槽を使った入浴サービスが提供されます。
訪問看護 看護師が自宅を訪問し、処置や服薬管理などの医療的ケアが提供されます。
訪問リハビリテーション 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問して専門的なリハビリが提供されます。

要支援1の場合、週1~2回の頻度で訪問型サービスの利用が可能です。頻度や費用については各自治体によって異なるので事前に確認するようにしましょう。

宿泊型サービス

短期間施設に滞在してさまざまなサポートが受けられるサービスです。ご家族の都合で自宅介護ができなくなった場合や、状態変化で自宅介護が困難になった場合に利用できます。

サービス 概要
介護予防短期入所生活介護(ショートステイ) 短期的に施設へ入所して介護や機能訓練を受けられるサービスです。介護予防を目的に日常生活の支援や機能訓練などが提供されます。
介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 短期的に施設や医療機関に入所して支援が受けられるサービスです。日常生活の支援や機能訓練だけでなく、医師の診療や医療ケアも提供されます。

要支援1で宿泊型のサービスを利用する場合、自己負担額は600~900円程度です。日常生活費(食費・滞在費・理美容代)は別途負担しなければなりません。
どちらのサービスも連続で利用できる日数は最長30日までです。

施設入所型サービス

施設に入所して日常生活の支援や機能訓練を受けるサービスです。

サービス 概要
特定施設入居者生活介護 介護予防を目的に、有料老人ホームや軽費老人ホームなどで日常生活の支援や機能訓練が提供されます。

要支援1で特定施設入居者生活介護を利用する場合、自己負担額は181円です。入居費用、日常生活費は別途負担しなければなりません。

地域密着型サービス

できる限り住み慣れた地域で自分らしい生活が継続できるように各自治体が指定した事業者が提供するサービスです。小規模の運営であるため、スタッフや利用者との交流が図りやすいでしょう。

サービス 概要
介護予防小規模多機能型居宅介護 利用者の希望に合わせて、「訪問介護」「通い」「泊まり」が選択できるサービスです。日常生活の支援や機能訓練が提供されます。
介護予防認知症対応型通所介護 認知症の方向けのデイサービスやグループホームなどで、日常生活の支援やリハビリが提供されます。

小規模多機能型居宅介護の利用料は1ヶ月当たりの定額制となっています。自治体によって異なりますが要支援1の場合、自己負担額は3000~4000円程度です。また、食事代などの日常生活費は別途必要になります。

福祉用具の貸与・購入

より日常生活がしやすくなるように生活環境を整えるサービスです。福祉用具の貸与費や購入費の援助が受けられます。

サービス 概要
介護予防福祉用具貸与費の支給 介護予防を目的とした福祉用具を借りる費用が支給されます。
※車椅子、特殊寝台、床ずれ防止用具、認知症老人徘徊感知器、移動リフトなどは対象外です。
介護予防福祉用具購入費の支給 排泄や入浴などのレンタルできない福祉用具の購入費用が支給されます。指定された事業所での購入が対象です。
介護予防住宅改修費の支給 介護予防を目的とした手すり設置や段差解消など、住宅改修費が支給されます。

福祉用具の貸与・購入費の限度額は1年につき10万円までです。住宅改修費は20万円までで、原則として1回限りとなっています。

要支援1の介護予防サービス費用

要支援1の場合、介護保険から給付される1ヶ月あたりの支給限度額は50,320円です。
支給限度額内でサービスを利用する場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2〜3割)の負担となります。上限額を超えた場合は、全額自己負担となります。
実際に要支援1の方が介護予防サービスを受ける場合の自己負担額のシミュレーションを見てみましょう。

自宅で受けるサービスの場合

要支援1の方が自宅で介護サービスを受ける場合、自己負担額のシミュレーションは以下のようになります。

サービス 回数 費用
介護予防訪問看護 4回/月 18,080円/月
介護予防訪問リハビリテーション 4回/月 12,600円/月
介護予防居宅療養管理指導 4回/月 14,040円/月
合計 44,720円/月
自己負担額の目安 1割負担の方:4,472円/月
2割負担の方:8,944円/月
3割負担の方:13,416円/月

参考:厚生労働省|介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス概算料金の試算

要支援1の方が自宅で介護サービスを受ける場合、訪問看護や訪問リハビリなど複数の介護サービスを組み合わせることになるでしょう。家族が同居していたり、近くにいたりする場合は訪問看護の利用回数を抑えることも可能です。また、費用は各自治体によって独自の金額が設定されています。さらに自治体ごとに週の利用回数や利用時間に制限がある場合もあるので事前に確認をしておきましょう。

施設入所型のサービスの場合

要支援1の方が施設入所型サービスを受ける場合、自己負担額のシミュレーションは以下のようになります。

サービス 費用
介護予防特定施設入居者生活介護 66,160円/月
自己負担額の目安 1割負担の方:6,616円/月
2割負担の方:13,232円/月
3割負担の方:19,848円/月

参考:厚生労働省|介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス概算料金の試算

要支援1の方が入所できる施設は以下の通りです。

  • 有料老人ホーム
  • ケアハウス
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • シニア向け分譲マンション

介護サービス費用の他に、家賃や食費、光熱費などの月額費用も必要です。サービス付き高齢者向け住宅やシニア向け分譲マンションは、基本的に介護サービスがついていません。希望する場合は外部の介護サービス業者との契約が必要になります。

要支援1の認定方法

要支援1の認定を受けるには、住んでいる自治体の窓口にて要介護認定の申請手続きが必要です。
申請の際に必要なものは以下の通りです。

  • 申請書
  • 介護保険証
  • かかりつけ医のわかるもの(診察券など)
  • マイナンバー
  • 健康保険証(64歳以下の場合)

要支援1の申請から認定までの流れは以下のようになります。

  1. 自治体窓口に申請
  2. 訪問調査
  3. 一次判定
  4. 二次判定
  5. 認定結果の通知

それぞれ解説します。

1. 自治体窓口に申請

まずはお住まいの自治体窓口にて要支援・要介護認定の申請を行います。申請は本人または家族が行いますが、地域包括センターや居宅介護支援事業所が代理でも構いません。並行して、自治体から被保険者の主治医に「主治医意見書」の作成が依頼されます。主治医がいない場合は、新たな医療機関の受診が必要です。

2. 訪問調査

申請後、自治体の認定調査員が自宅に訪問し、訪問調査を行います。主な調査内容は、申請者の状態、日常生活状況、家族や住まいの環境などです。

3. 一次判定

訪問調査の結果と主治医意見書の一部項目をコンピューターに入力し一次判定を行います。

4. 二次判定

一次判定後の結果、主治医意見書、認定調査の内容を基に、保健、医療、福祉の専門家による二次判定を行います。

5. 認定結果の通知

認定結果が被保険者へ通知されます。通常、申請から結果の通知までは30日程度の期間を要します。地域によっては判定まで2ヶ月要す場合もあるので早めに申請をするようにしましょう。

要支援1に関するよくある質問

要支援1に関するよくある質問を紹介します。

要支援1の認定を受けるメリットは?

介護保険が使えるようになり、サービスを受けることができます。これまで困難に感じていた日常生活もスムーズに行えるようになるでしょう。

要支援1のサービスはいつから利用できる?

自治体の窓口に申請し、通知結果が届いて要支援1も認定されてからサービスの利用が可能です。申請後およそ30日程度の期間を要します。

要支援1のサービスは無料で利用できる?

無料での利用はできません。支給限度額である月額50,320円の範囲内であれば、所得に応じた自己負担額1〜3割でサービスが利用できます。

要支援1で一人暮らしはできる?

要支援1でも一人暮らしは可能です。しかし、従来通りの生活では身体機能を低下させてしまうリスクもあります。そうならないためにも適度な運動をしたり、バランスの良い食事を取ったりなど、介護予防に努めることが大切です。また、積極的な介護サービスの利用や、施設入居も視野に入れておくなど、家族の配慮も必要になってくるでしょう。

まとめ

要支援1は要介護認定のうち最も軽度なレベルですが、受けられるサービスは数多く存在しています。適切なサービスが受けられれば、日常生活の負担が軽減し一人暮らしも可能です。また、デイサービスや訪問など、さまざまな介護予防サービスが受けられるため、心身機能の維持向上も期待できます。ご本人や家族がより健やかに生活できるよう、有効的に利用を考えてみてください。