文京区本駒込にある「南谷寺(なんこくじ)」は、目赤(めあか)不動明王を祀った不動堂があるお寺です。
徳川家が江戸鎮護のために不動尊を置いたのが始まりとされる江戸五色不動の一つであり、「目赤不動」とも呼ばれています。
都会でありながら寺町の風情を楽しむことができるエリアに鎮座しており、周辺には由緒ある寺院が数多く点在しています。
赤と緑の文字が印象的な門柱
南谷寺(目赤不動)にいちばん近い駅は、東京メトロ南北線の本駒込駅です。
駅を出て本郷通りを3分ほど北方面に歩くと、赤の文字で「目赤不動尊」、緑の文字で「大聖山 南谷寺」と書かれた門柱が立っているのが目に入ります。
門を入ると正面に南谷寺の本堂、右手に六地蔵と不動堂があり、敷地はそれほど広くないものの穏やかな空気に包まれているので、車通りの激しい大通りに面していることを忘れてしまいます。
都営三田線の白山駅も近くにあり、徒歩約10分ほどでアクセス可能。
都バスを利用する場合は、山門から徒歩3~4分の場所にある「吉祥寺前」か「本駒込三丁目」のバス停で下車するのがよいでしょう。
赤目不動から目赤不動へ
目赤不動の歴史は、江戸時代の元和年間に、伊勢国赤目山で不動明王像を授けられた万行律師(南谷寺初代住職)が、後に駒込村の動坂に庵を開いて「赤目不動」と号したのが始まりです。
寛永年間、三代将軍徳川家光が庵に立ち寄った際、目黒不動・目白不動に対して「目赤不動」と呼ぶように命じて、現在の地を与えたといわれています。
現在の五色不動の都内の安置場所は、全部で6ヶ所。
目黒区下目黒の瀧泉寺(目黒不動)、豊島区高田の金乗院(目白不動)、世田谷区太子堂の教学院(目青不動)、目黄不動に関しては台東区三ノ輪の永久寺と江戸川区平井の最勝寺の2ヶ所が同定されています。
都会にありながら寺町風情が感じられる街並み
南谷寺(目赤不動)は、寺町の穏やかな風情が広がるエリアにあります。
江戸城を築いた太田道灌が開基した「吉祥寺」、奈良の長谷観音を模した十一面観音像がある「駒込大観音(光源寺)」など、周辺には由緒ある寺社が数多く点在しており、江戸時代から言い伝えられる逸話や墓碑なども多く残されています。
紫陽花の名所として知られる「白山神社」までも、歩いて10分ほど。
白山神社は文京花の五大まつりの一つである「文京あじさいまつり」の開催場所にもなっており、梅雨の時期にはたくさんの観光客や地元の人々で賑わいます。
南谷寺(目赤不動)を訪れる際には、そんな魅力あふれる周辺スポットにも足を伸ばして散策してみることをおすすめします。